【プロ直伝】お風呂の設備選びで失敗しない!後悔を防ぐポイントと住宅性能の重要性

お風呂は「癒やしの場」であると同時に「メンテナンスの場」
理想のマイホームを計画する中で、お風呂づくりに胸を躍らせている方は多いのではないでしょうか。
「一日の疲れを癒やすために、足を伸ばせる広い浴槽にしたい」
「ホテルのようなラグジュアリーな内装でリラックスしたい」
こうした願いを形にできるのは、注文住宅ならではの醍醐味です。最新の設備や美しい壁パネルを選んでいる時間は、まさに至福のひとときですよね。
しかし、実際に新しい生活が始まってみると、お風呂という場所は「癒やしの空間」である以上に、実は家の中で最も「メンテナンス」と「ランニングコスト」にシビアな場所であることに気づかされます。

注文住宅の設計で見落としがちな視点:「理想の憧れ」と「生活のリアル」
多くの方が、「見た目の美しさ」や「使い勝手の良さ」を優先した結果、住み始めてから「掃除が大変すぎて後悔している」「光熱費が思っていたより高くて驚いた」といった壁に直面されています。
お風呂は毎日、そして何十年と使い続ける場所です。だからこそ、10年後、20年後の自分たちが「これを選んで本当によかった」と心から思えるかどうかが重要になります。
この記事では、住宅のプロとしての視点から、多くの方が選んでしまいがちだけれど、実は後悔しやすい設備のポイントをランキング形式で解説します。皆様の家づくりが、本当の意味で心地よいものになるためのヒントになれば幸いです。
老後の安心と掃除のしやすさ、どちらを取る?「入り口の引き戸」の落とし穴
お風呂の入り口といえば、一昔前までは「折れ戸」が主流でしたが、最近では「引き戸」を希望される方が非常に増えています。まずは、引き戸がなぜこれほどまでに人気なのか、そのメリットを整理してみましょう。
①バリアフリー性能が高い
扉を前後に動かす必要がないため、万が一浴室の中で誰かが倒れてしまった際でも、外側からスムーズに救助に入れます。
②出入り口が広い
扉が横にスライドするため、小さなお子様と並んで入る際や、将来的な介護で車椅子を利用する際も出入りがスムーズです。
③脱衣所のスペースを有効活用できる
扉が外側に飛び出さないため、脱衣所の動線を邪魔せず、間取りの自由度が高まります。
ここまで聞くと「完璧な選択」に思えるかもしれません。
しかし、家事や仕事に追われる忙しい日々の中で、多くの方を悩ませる隠れたデメリットが存在します。
忙しい人を悩ませる「レールの溝」
引き戸の最大の弱点は、「レールの掃除が想像を絶するほど面倒である」という点です。
想像してみてください。仕事から帰り、夕飯の支度や片付けを済ませ、ようやくお風呂に入ろうとした時、ふと足元のレールが目に入ります。そこには、浴室内の湿った空気でふやけた「ホコリ」、脱衣所から舞い込んだ「衣類の綿ゴミ」、そして蓄積された「石鹸カス」や「髪の毛」が混ざり合い、頑固な汚れに成長しています。
この溝は非常に細いため、一般的なスポンジでは太刀打ちできません。使い古した歯ブラシなどで、腰をかがめてチマチマと掻き出す作業が必要になります。「今日は疲れたから週末に……」と数日放置するだけで汚れは固まり、カビの原因にもなってしまいます。この地道な作業の積み重ねが、日々のストレスとなってじわじわと溜まっていくのです。
特に注意が必要な「引き込み」の間取り
さらに、間取りの工夫として「洗面台や洗濯機と浴室の間に扉を引き込む形」にしている場合は特に注意が必要です。扉を引き込んだ先のスペース(戸袋)にレールが隠れてしまうため、掃除の手が届かず、汚れの温床になりがちです。
後悔しないための代替案
もし「掃除の負担を最小限にしたい」とお考えであれば、以下の選択肢も検討してみてください。
上吊り式の引き戸:床にレールがなく扉を吊るすタイプ。足元がフラットなので、お掃除シートでサッと拭くだけで済みます。
シンプルな開き戸:パッキン部分の面積が少なく、掃除が圧倒的に楽です。外側にタオル掛けを設置すれば利便性も補えます。
「将来の安心」と「現在の負担」。カタログのスペック表だけでは見えてこない「毎日のリアル」をイメージして、最適なバランスを見つけてください。
「かっこいい」が「手間」に変わる瞬間。濃い色の浴槽・壁面のリアル

次に、浴室のデザインを重視する方が陥りやすい「カラー選択」の罠について解説します。お風呂を特別な空間にしたいとき、多くの方が憧れるのがダークカラーで統一されたシックな浴室です。しかし、ここにはデザイン性と引き換えになる「大きな注意点」があります。
濃い色を選んだ方が直面する「白い汚れ」の正体
濃い色の浴室、特にブラック系の壁や浴槽で最も厄介なのが、一際目立つ「白い汚れ跡」です。
水道水のミネラル成分(水垢):水滴が乾いたあとに残るシリカやカルシウムです。
石鹸カスや皮脂汚れ:これらが乾燥すると、白っぽい膜のように広がります。
黒い車を思い浮かべると分かりやすいですが、汚れが目立ちやすいという性質はお風呂も全く同じです。
毎日の「拭き上げ」が必須になることも
「モダンでかっこいいお風呂」を維持するためには、入浴前・入浴後の拭き掃除がほぼ必須となります。仕事や他の家事で忙しい毎日の中で、この工程を家族全員が徹底するのは至難の業です。放置すればわずか数ヶ月で、高級感のある空間が一気に生活感のある空間に変わってしまいます。
メンテナンス性と美しさを両立するカラー選び
「掃除で楽をしたい、でもおしゃれにしたい」という方には、以下の選択肢がおすすめです。
ミディアムトーンのグレーやベージュ:水垢も皮脂汚れも目立ちにくい万能カラーです。
大理石・石目調の柄入り:模様が入っていることで、多少の汚れが視覚的に紛れます。
ホワイト・ライトグレー:最も清潔感を維持しやすく、掃除の頻度を抑えられます。
「ショールームの照明下での姿」だけでなく、「自宅の水道水で毎日使ったあとの姿」をイメージして選ぶことが後悔しない秘訣です。
家計をじわじわ圧迫する?「保温性の低い浴槽」がもたらす長期的なコスト
最後にご紹介する第1位は、見た目では判断しにくい「浴槽の保温性能」です。
最近の住宅は高断熱化が進んでいますが、お風呂の「お湯」の冷めにくさについては優先順位を下げてしまう方がいらっしゃいます。しかし、これが家計の大きな盲点となります。
給湯費は光熱費の「主役」
家庭全体のエネルギー消費において、「給湯費」は約3割を占めると言われています。冷めたお湯を追い焚きすることは、ダイレクトに月々のガス代や電気代を押し上げる要因になります。
(参考:資源エネルギー庁「家庭の用途別エネルギー消費」)
保温性能による「決定的な違い」
| 保温性が低い浴槽:40℃のお湯が、わずか2時間後には37.5℃まで低下します。 保温性が高い浴槽(高断熱浴槽):4時間経っても、37.5℃以上をキープできるものが主流です。 |
(参考:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会)
特に「入浴時間がバラバラなご家庭」や「家族人数が多いご家庭」では、この性能差が年間数万円単位のコスト差になって現れます。初期投資として数万円の差があったとしても、長期的な光熱費を考えれば、高断熱浴槽は十分に「元が取れる」賢い投資と言えるでしょう。
後悔を未然に防ぐ!浴室設計で検討すべき「+α」のポイント
TOP3以外にも、近年の注文住宅において「考えておけばよかった」という声が多いポイントをご紹介します。
「鏡」と「カウンター」の必要性
最近では、あえて設置しない選択をする方が増えています。
鏡:最も水垢が目立ち、掃除に手間がかかる場所です。
カウンター:裏側や接地面にカビが生えやすく、掃除の負担増につながります。 マグネット式の棚などを使い、必要なときだけ取り付けるスタイルなら、掃除は劇的に楽になります。
ヒートショック対策と床の素材
将来まで安心して暮らすためには、温度変化による体への負担対策も欠かせません。浴室暖房乾燥機で事前に空間を暖めることや、ヒヤッとしない床材を選ぶことは、安全性と快適性を同時に高めてくれます。
冬場の急激な温度変化は「ヒートショック」のリスクを高めます。浴室や脱衣所の温度管理は、安全な住まいづくりにおいて非常に重要です。
(出典:消費者庁「冬季に急増する入浴中の事故にご注意ください」)
窓の設置とプライバシー
窓は明るさをもたらしますが、断熱性能の低下や外からの視線といったリスクも伴います。周囲の環境を確認し、本当に必要かどうかを慎重に吟味しましょう。

まとめ:10年後の自分から感謝されるお風呂づくりを
ここまで、お風呂選びで後悔しやすいポイントをプロの視点から解説してきました。お風呂は、一日の汚れを落とすだけでなく、明日への活力を養う大切な場所です。
注文住宅という自由な家づくりだからこそ、最新の機能やデザインに心が動きがちですが、本当に大切なのは、その空間で過ごす日常が、ストレスなく心地よいかどうかです。
納得のいくお風呂づくりのための3つのチェック
・「将来の安心」と「日々の掃除」のバランスは取れているか?
・「デザイン」が「過剰なメンテナンス」を強いていないか?
・「目に見えない性能(保温性など)」を妥協していないか?
家づくりは選択の連続です。迷ったときは、ぜひ「10年後の自分たちが、笑顔でお風呂を使っているか」を想像してみてください。