注文住宅の『外壁選び』で後悔しないために。メンテナンス地獄を避ける素材TOP3

外壁選びは『デザイン』と『メンテナンス』のバランス
注文住宅の打ち合わせが進み、外観のデザインを決めるプロセスは、家づくりの中でも特に楽しい時間です。
「カフェのようなおしゃれな外観にしたい」「重厚感のある落ち着いた雰囲気がいい」と、理想を膨らませている方も多いでしょう。
しかし、ここで一つ、プロとしてお伝えしなければならない厳しい現実があります。
それは、外壁は、新築時よりも、住み始めてからの方がお金がかかる場所であるということです。
「見た目」だけで選ぶと、10年後に後悔する
家が完成した瞬間は、どんな外壁材を選んでも美しく輝いています。
しかし、外壁は365日24時間、容赦ない紫外線や雨風、台風、そして冬の寒さにさらされ続ける非常に過酷な場所です。
多くの施主様が、初期費用を抑えるために安価な外壁材を選びますが、実はそれが10年おきに100万円単位の修繕費を発生させる原因になっているケースが少なくありません。

30年、40年先を見据えた「外壁戦略」
外壁選びで失敗しないためのポイントは、デザインだけでなく、メンテナンス周期と維持費をセットで考えることです。
- 「この外壁は、何年後に塗り直しが必要ですか?」
- 「その時、足場代を含めていくらくらいかかりますか?」
こうした視点を持つことで、将来の教育資金や老後資金を、外壁の修理代で使い果たしてしまうという悲劇を未然に防ぐことができます。
この記事では、ショート動画でご紹介した後悔しやすい外壁材について、なぜリスクがあるのか、どうすれば失敗を防げるのかを詳しく深掘りしていきます。
第3位:憧れの代償は想像以上に重い。木質系サイディング
第3位は、天然木の質感が魅力の木質系サイディングです。
自然素材ならではの温かみや、時が経つほどに深みを増す表情は、他の外壁材にはない大きな魅力です。
また、木材は非常に優れた断熱性能を持っており、その能力は鉄の約413倍とも言われています。機能性と意匠性を兼ね備えた、まさに憧れの外壁材と言えるでしょう。
しかし、この天然木という性質が、家づくりにおけるメンテナンス地獄の入り口になってしまうことがあります。
圧倒的に短いメンテナンスサイクル
木質系サイディングの最大のリスクは、その維持管理の手間とコストにあります。
- 1~2年での塗り直しが必要なケースも:木材の種類や周辺環境、日の当たり方によっては、わずか1~2年で塗装が剥げたり、色褪せたりすることがあります。比較的丈夫な木材であっても、4~6年ごとの再塗装が推奨されることが一般的です。
- 他の外壁材との差:後述するサイディングや塗壁が10年~15年のスパンであることを考えると、木質系サイディングのサイクルは圧倒的に短いです。外壁の塗装には、その都度足場を組む必要があり、この足場代だけでも1回15万~20万円ほどかかります。これを数年おきに繰り返すと、維持費は膨大な額に膨れ上がります。
施工とコストの二重苦
木質系サイディングは、扱える業者が限られていることも課題です。
| 専門知識が必要:天然木は水分を吸うと伸縮するため、適切な施工をしないと反りや割れが発生します。熟練の技術が必要なため、施工費自体が高額になりがちです。 専用塗料のコスト:木材の呼吸を妨げない専用の塗料を使用する必要があり、これも一般的な塗料より割高な傾向にあります。 |
【プロのアドバイス】
「それでもやっぱり木の質感を取り入れたい!」という方は、10年保証付きの高耐久製品を選ぶか、雨の当たりにくい場所に限定した部分使いにすることをおすすめします。
軒を深く出せば、紫外線や雨の影響を最小限に抑え、メンテナンスの手間を劇的に減らすことができます。

第2位:表情豊かな「塗壁」が抱える3つの宿命
和風の落ち着いた佇まいからモダンな建築まで、幅広いスタイルにマッチする塗壁。
職人がコテを使って一枚一枚仕上げるため、独特の風合いが生まれますが、維持するためには「3つの宿命」を理解しておかなければなりません。
①ひび割れ(クラック)は完全に防げない
塗壁は、モルタルなどの下地の上に仕上げ材を塗って作ります。
そのため、乾燥による収縮や、地震による建物の微細な揺れの影響をダイレクトに受けてしまいます。
- ヘアクラックの発生:髪の毛ほどの細いひび割れ(ヘアクラック)は、どんなに腕の良い職人が塗っても、経年変化で発生する可能性をゼロにはできません。
- 放置のリスク:小さなひび割れだからと放置すると、そこから雨水が侵入し、内部の構造体を腐らせる原因にもなります。
②汚れを吸い込む「凸凹」の構造
塗壁の魅力である表面のザラつきやコテ跡の凸凹は、汚れにとっては絶好の溜まり場です。
- 雨だれとカビ:サッシの角から流れる雨だれや、日当たりの悪い北側の壁に発生するカビは、塗壁で最も多い悩みの一つです。
③職人の腕で仕上がりに差が出る
現場で材料を練り、手作業で塗るため、仕上がりのクオリティが職人の熟練度に左右されます。
当然、腕の良い職人は引っぱりだこで、施工費も高くなる傾向にあります。
【プロのアドバイス】
塗壁を検討されるなら、これらの欠点を克服した高機能な塗壁材を選ぶことが必須です。例えば、CFLが標準仕様として採用している「ジョリパット」は、塗膜に弾性(しなやかさ)があるためひび割れに強く、汚れも付きにくい耐候性を備えています。こうした材料選びで、10年後の美しさに大きな差がつきます。
【関連記事】外装や内装に塗壁を使用する方法|メリット・デメリットも紹介

第1位:普及率8割の裏に隠れた罠。窯業系サイディング
日本の住宅の約8割で使用されている、最もポピュラーな外壁材が窯業(ようぎょう)系サイディングです。
デザインが豊富で価格も抑えめなため選びやすい素材ですが、ここに最大の罠が隠れています。
10~15年後に訪れる「100万円」の壁
窯業系サイディングは、表面の「塗装」によって防水しています。
- 塗装の劣化(チョーキング):10年も経つと紫外線で塗装が劣化し、壁を触ると白い粉がつく「チョーキング現象」が起きます。
- メンテナンス費用の実態:再塗装と足場代、補修費を合わせると、1回につき100万円~150万円もの費用がかかります。30年住む間に2回行うだけで、軽自動車が買えるほどの出費になります。

シーリングの変色が「古さ」を強調する
台本でも触れた通り、サイディング同士の継ぎ目にあるゴム状のシーリングの劣化は、見た目の満足度を大きく下げます。
数年もするとシーリングが硬くなり、ひび割れたり、黒ずんで変色したりします。
これが目立つことで、家全体が古びた印象になってしまうのです。
【プロのアドバイス】
初期費用を抑えるために安価なサイディングを選ぶのは、将来の自分に高い借金を背負わせるようなものです。
おすすめは、「30年保証」などの高耐久な塗装が施された製品や、継ぎ目が目立たない「シーリングレス工法」を採用した製品を選ぶことです。

外壁の寿命を延ばす!後悔しないための知識
「チョーキング現象」を見逃さない
壁を撫でて白い粉がついたら「防水バリア」が切れたサイン。早めのメンテナンスが被害を最小限に抑えます。
汚れにくい「色」の選び方
白は泥汚れ、黒は砂ぼこりが目立ちます。最強はグレーやベージュなどの中間色です。
「親水性」のテクノロジー
雨が降ることで汚れを洗い流すセルフクリーニング機能付きの製品を積極的に選びましょう。
【関連記事】外壁サイディングの種類と特徴を知ろう!メリット・デメリットからメンテナンス方法までを解説
まとめ:30年後の自分から「ありがとう」と言われる選択を
外壁選びは、新築時の「見た目」だけを競うゲームではありません。
30年、40年という長い年月、家計を圧迫せずに家族を守り続けるための「投資」です。
新築時の10万円を惜しんだ結果、10年後に100万円の修繕を迫られるパターンが最も多い後悔です。
ぜひ、メンテナンス費用のシミュレーションを確認し、将来の自分に感謝される外壁材を選んでください。
出典・参考文献