戸建て住宅のメンテナンス費用とランニングコストを節約する方法!修繕費から税金まで抑えるコツ
戸建て住宅のメンテナンス費や維持費は、家を長く快適に保つために欠かせない重要な要素です。主な費用には、「修繕費」「税金」「保険」の3つがあり、事前に知っておくと計画的に家を管理できます。
この記事では、戸建て住宅にかかる具体的な費用やメンテナンスのタイミング、コストを減らす方法についてわかりやすく説明します。これからマイホームを購入する方や、出費を抑えたいと考えている方におすすめの内容です。
戸建て住宅の維持費とは?
新築の注文住宅を検討している方は、戸建てに必要な維持費を理解しておく必要があります。代表的な内訳は「修繕費」「税金」「保険料」の3つです。あらかじめ支払いのタイミングや目安金額を把握しておくと、入居後の家計管理がスムーズになります。
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修繕費(メンテナンス費)
戸建て住宅の維持費の中で大きな割合を占めるのが修繕費です。修繕費とは、建物の劣化や不具合を補修して快適に住み続けるための費用を指します。具体的には、外壁の塗り替えや屋根の修理、設備の交換などです。
新築住宅では入居から10年を過ぎた頃に大規模なメンテナンスが必要となるケースが多く、定期的な計画が欠かせません。
税金(固定資産税・都市計画税)
マイホームの所有には税金がかかり、主なものは「固定資産税」と「都市計画税」です。
- 固定資産税:すべての土地・建物に課税される
- 都市計画税:市街化区域の土地・建物に課税される
どちらも1月1日時点で土地や建物を所有している人が支払います。
2025年現在は、新築住宅に対して一定期間の固定資産税が軽減される特例も設けられており、条件を満たすと数十万円規模の節税につながります。
保険(火災保険・地震保険)
住宅を守るためには、保険料も欠かせない維持費に含まれます。基本となるのは火災保険と地震保険です。近年は自然災害の増加により、火災保険とセットで地震保険に加入するケースが増えています。
保険料は建物の構造・立地・補償範囲によって大きく変動します。2025年現在は、省エネ性能や耐震性能が高い住宅ほど割引が適用される制度もあり、性能証明を活用すれば保険料を抑えることが可能です。
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戸建て住宅のメンテナンス費用とタイミング
住宅は築年数が経つにつれて外壁や屋根、設備が劣化し、修理や交換が欠かせません。劣化の進行スピードは、住んでいる地域の環境・使用している建材・ライフスタイルによって大きく変わります。メンテナンスを怠ると補修範囲が広がり、修繕費が膨らむ原因となるため注意が必要です。
余計な出費を防ぐためには、「どのタイミングで」「どのくらいの費用が必要か」を事前に知っておく必要があります。ここでは、外壁や屋根をはじめ、主要なメンテナンス費用の目安を解説しましょう。
外壁材の種類とメンテナンス費用
戸建て住宅の修繕費で大きな割合を占めるのが外壁のメンテナンスです。サイディングやモルタル、ガルバリウム鋼板など外壁材の種類によって、必要な工事内容や費用は異なります。選ぶ際は初期費用だけでなく、長期的なメンテナンスコストも考慮しましょう。
| 外壁材の種類 | メンテナンス内容 | 費用の目安(35坪) | メンテナンス周期 |
| サイディング | 塗装 | 80~150万円 | 10~20年ごと |
| 高耐久サイディング | 塗装 | 80~150万円 | 40年ごと |
| タイル | 目地・シーリング補修 | 30~50万円 | 10年ごと |
| モルタル | 塗装 | 80~150万円 | 10~20年ごと |
| ガルバリウム鋼板 | 塗装 | 80~150万円 | 10~20年ごと |
40年間住むと仮定した場合の累計コストは以下のとおりです。
| 外壁材の種類 | 推奨メンテナンス周期 | 40年間のトータル費用 |
| サイディング | 10年ごと | 320~600万円 |
| 高耐久サイディング | 40年ごと | 80~150万円 |
| タイル | 10年ごと | 120~200万円 |
| モルタル | 10年ごと | 320~600万円 |
| ガルバリウム鋼板 | 20年ごと | 160~300万円 |
ポイント:外壁材の選び方次第で、将来の維持費を数百万円単位で変えられます。ハウスメーカーや工務店には「40年での総額」を確認しておきましょう。
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屋根材ごとのメンテナンス費用
屋根材も種類ごとに耐用年数や費用が異なります。
| 屋根材の種類 | メンテナンス内容 | 費用の目安(35坪) |
| 高耐久スレート | 塗装 | 30~60万円 |
| ガルバリウム鋼板 | 塗装 | 30~60万円 |
| スレート | 塗装 | 30~60万円 |
| 瓦 | ずれ・割れ補修、漆喰・板金補修 | 10~20万円 |
40年間での累計費用は次の通りです。
| 屋根材の種類 | 推奨メンテナンス周期 | 40年間のトータル費用 |
| 高耐久スレート | 30年 | 30~60万円 |
| ガルバリウム鋼板 | 20年 | 60~120万円 |
| スレート | 10年 | 120~240万円 |
| 瓦 | 20年 | 40~80万円 |
ポイント:瓦やタイルは耐用年数が長い一方、防水補修など小規模メンテナンスは必要です。初期費用・耐久性・メンテナンス頻度のバランスを見て選びましょう。
バルコニーのトップコート塗替え費用
バルコニーのメンテナンス費用は、床に施されている「トップコート」の状態に左右されます。
トップコートとは?
バルコニーの床には、雨水を防ぐために「防水層(ウレタン塗料・FRP・塩ビシートなど)」が施工されています。この防水層を紫外線や雨から守るのがトップコートです。トップコートを定期的に塗り替えることで、防水層の寿命を20年以上に延ばすことができます。
寿命と費用の目安
- 塗替え周期:およそ10年ごと
- 費用の目安:1回あたり約10万円
塗替えを怠ると防水層が劣化し、20万~30万円以上の修繕費がかかる場合もあります。定期的なメンテナンスが、バルコニーを長持ちさせる最大のポイントです。バルコニーのメンテナンス費用は、床に塗られている「トップコート」という塗料の状態が大きく影響します。
給湯器・コンロなど設備交換費用
ガス給湯器やガスコンロなど火を使う設備は、熱の影響を受けやすく寿命はおよそ10年程度となります。一方、IHやエコキュートなど電気設備は約15年と長めです。
| 工事内容 | 費用相場 |
| ガスコンロ交換 | 10~15万円 |
| IHコンロ交換 | 10~18万円 |
| ガスボイラー交換 | 20~35万円 |
| エコキュート交換 | 40~50万円 |
IHは火を使わず安全で、省エネ効果も高いため人気が高まっています。エコキュートは初期費用が高めですが、ランニングコストを抑えやすいのが魅力です。
ガスと電気、どちらを選ぶ?
- ガス設備:初期費用は安いが寿命が短く交換周期が早い
- 電気設備:初期費用は高いが省エネ性能が高く、長期的には経済的
設備を選ぶ際は、寿命・初期費用・光熱費のバランスを考えることが大切です。
防蟻処理(シロアリ対策)のポイントと費用
シロアリ被害を防ぐためには、防蟻処理が欠かせません。処理方法は、床下や基礎のまわりに薬剤を散布してシロアリの侵入を防ぐというものです。
「鉄骨やコンクリート住宅なら必要ない」と思われがちですが、床下に木材が使われていれば被害のリスクは残ります。実際に鉄骨住宅でも防蟻処理が行われています。
効果と費用の目安
- 効果の持続期間:およそ10年
- 再処理の費用:15~20万円(35坪程度の家)
防蟻処理を怠りシロアリに木材を食べられると、柱や土台の修繕で数百万円規模の出費になるケースも少なくありません。定期的な防蟻処理(10年ごと)が結果的にコストを抑える最善策といえます。
壁や天井のクロス(壁紙)のメンテナンス費用
クロスは、時間の経過とともに汚れや日焼けで劣化します。とくにリビングやダイニングは使用頻度が高いため、張り替えの優先度も高めです。
張り替え費用の目安
- リビング・ダイニング:約20万円
- LDK全体:約25万円
- 玄関まわりの部分補修:数万円
張り替えのタイミング
一般的には 20年程度が目安とされます。
インターネット上では「5~10年」と書かれている場合もありますが、実際にはそこまで頻繁な張り替えは不要です。ただし、ペットによる傷みや汚れが目立つ場合は早めの対応が必要となります。
人目につきにくい子ども部屋や寝室は、多少の汚れがあっても張り替えを先送りにするケースも多く、優先順位をつけて計画的に行うのがおすすめです。
張り替えの頻度に注意
インターネット上で「5~10年で張り替える」という情報を目にする機会があるものの、実際には必要ないケースがほとんどです。20年は使えるのが一般的なので、間違った情報に惑わされないようにしましょう。ただし、ペットを飼っていて壁紙がひどく傷んでいる場合は、早めに張り替えが必要な場合もあります。
戸建て住宅の固定資産税と都市計画税にかかる費用は?
戸建て住宅を所有すると、メンテナンス費用だけでなく税金の支払いも必要となります。代表的なのが 固定資産税 と 都市計画税 です。マイホームを検討中の方は、それぞれの仕組みと費用の目安を理解しておきましょう。
固定資産税とは?
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課税される税金です。全国一律で課税され、税額は以下の計算式で求められます。
計算式:固定資産税評価額 × 1.4%
- 固定資産税評価額は市町村が「固定資産評価基準」に基づいて算定
- 土地の評価額は時価の約70%が目安
- 建物は規模や築年数によって変動
新築住宅に適用される減額措置(2025年最新版)
新築住宅には、一定期間の税額軽減措置があります。
- 一般的な新築住宅:最初の3年間、固定資産税が2分の1に軽減
- 長期優良住宅や3階建以上の耐火住宅:5年間軽減
- 適用期限:令和8年(2026年)3月31日までに新築された住宅
例:新築住宅を2,000万円で購入し、固定資産税が年間18.2万円の場合
→ 特例により3年間は 年9.1万円 となり、合計で約27万円の節税に。
ただし、4年目以降は通常の税額に戻るため注意が必要です。
(出典:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」)
都市計画税とは?
都市計画税は、固定資産税と同じく1月1日時点の所有者に課税される税金ですが、市街化区域内の土地や建物が対象となります。
ただし、課税の有無や税率は自治体ごとに異なり、場合によっては 市街化区域外でも課税されるケース があります。
税率の上限は0.3%と法律で定められており、その範囲内で各自治体が設定しています。つまり、同じエリアに家を建てても、自治体によって税額が変わる可能性があるので注意しましょう。
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戸建て住宅に必要な保険と費用は?
戸建て住宅の維持費は、修繕費や税金だけでなく「保険料」も含まれます。とくに住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入は必須条件となるため、あらかじめ支払いを見込んでおく必要があります。
火災保険と地震保険は住宅を守る基本の保険
戸建て住宅を所有するなら、火災保険と地震保険は必須の備えです。
- 火災保険:火災のほか、落雷・風災・雪災など自然災害による損害を補償
- 地震保険:地震や津波による損害を補償(火災保険とセット契約が必須、単独加入不可)
補償対象は「建物」と「家財」から選択可能ですが、補償範囲や金額は保険会社によって異なります。
保険料の決まり方
火災保険・地震保険の保険料は、以下の条件によって大きく変動します。
- 補償内容(補償範囲や特約の有無)
- 建物の構造(木造/耐火建築物など)
- 地域(災害リスクが高いかどうか)
- 契約年数(長期契約ほど割安)
火災保険は補償範囲を自由に選べますが、地震保険は国の制度に基づき補償内容が統一されているのが特徴です。
割引制度を活用して保険料を抑える
2025年現在は、以下のような割引制度が利用できます。
- 耐震性能割引:耐震等級の高い住宅は地震保険料が割引
- 免震建築物割引:免震構造の建物は大幅な割引が可能
- 省エネ性能割引:一部の火災保険では省エネ性能が優れた住宅に割引適用
契約時に性能証明書や認定書を提出すると、保険料を大きく抑えられるケースもあります。
(参考:財務省「地震保険制度の概要」)
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保険料はシミュレーションで簡単に確認できる
火災保険や地震保険の保険料は、保険会社や比較サイトのシミュレーション機能を使えば簡単に試算できます。
試算条件(例:兵庫県の木造戸建ての場合)
- 建物保険金額:2,000万円
- 家財保険金額:1,500万円
- 契約期間:1年(年払い)
- 地震保険:あり
上記の条件で試算した結果、年間19,350円~47,050円 と幅広い金額が提示されました。
結果の違いに注意
金額の差は、主に以下の要因によるものです。
- 補償範囲の広さ(火災のみ/水災・風災を含む など)
- 特約の有無
- 保険会社の算定基準
つまり「安いからお得」とは限らず、家族構成やリスクに合った補償を選ぶことが大切です。
※試算は火災保険比較サイト「戸建ての火災保険の相場|火災保険料シミュレーション」(2024年時点)を参照
支払い方法と契約期間の選び方
火災保険や地震保険の保険料は、年払いまたは契約時の一括払いを選択できます。契約期間は 1年契約が基本 で、最長 5年まで が一般的です。
- 1年契約
補償内容を毎年見直しやすく、1回あたりの支払い負担も軽いのがメリットです。ただし、更新の手間が増え、総支払額はやや高くなります。 - 長期契約(2〜5年)
契約期間をまとめることで総支払額を抑えられ、更新の手間も少なく済みます。一方で、一括払いの場合は初期の負担が大きく、途中で補償内容を変更しにくい点がデメリットです。
ライフスタイルや家計状況に合わせて、更新の柔軟性を重視するか、総額の安さを優先するかを検討すると良いでしょう。
まとめ│戸建て住宅の維持費とメンテナンス費用を理解して安心の家づくりを
戸建て住宅の維持費には 修繕費・税金・保険 の3つが大きく関わります。外壁や屋根のメンテナンスは約10年ごとが目安となり、使用する建材によって費用は大きく変動します。また、固定資産税や都市計画税といった税金、火災保険や地震保険などの保険料も継続的に必要です。
安心して暮らし続けるためには、これらの費用をあらかじめ理解して、長期的な計画を立てておきましょう。