住宅設備メンテナンス費用ランキング5選!老後に後悔しないために知っておきたい高額設備とは

家づくりの場面では、つい「便利そう」「見た目が素敵」といった住宅設備の魅力に心が動いてしまうものです。しかし、少し先のメンテナンス費用まで考えると、設備選びの基準は大きく変わります。
住宅設備の多くは、10〜15年ほどで点検や交換が必要になります。故障する部位によっては、修理費が数万円〜数十万円に及ぶケースも珍しくありません。
30〜40代で家を建てた場合、交換時期は50〜60代に訪れます。教育費や老後資金の準備と重なるため、想定外の修理費が家計を圧迫しやすいタイミングです。大阪・奈良のように夏は蒸し暑く、冬は冷え込む地域では、設備への負荷が大きく、交換時期が早まる例もあります。
この記事では、メンテナンス費用が高額になりやすい設備をランキング形式で紹介し、後悔しない設備選びのポイントを解説します。住まいづくりで後悔しないためにも、選ぶ前に必ずチェックしておきましょう。
住宅設備のメンテナンス費用が高くなる理由とは?

住宅設備は見た目や使い勝手が魅力的に見えるものの、実際に使い始めると「こんなに費用がかかるとは思わなかった…」と感じる場合があります。
モーターや基盤など精密な部品を使った設備は、故障したときの修理費が高くなるという傾向があります。
住宅設備のメンテナンス費用が上がりやすい理由を、代表的な設備を例に見てみましょう。
便利・おしゃれだけで選ぶと何十万円の出費になる場合がある
SNSやショールームで魅力的に見える設備も、内部には精密なモーターや基盤が使われています。
そのため故障すると修理が難しく、高額になるケースが目立ちます。
たとえば、次のような不具合は専門知識が必要で、メーカー対応が欠かせません。
- 昇降式吊り棚のモーター不調
- 自動洗浄レンジフード内部の摩耗
- 電子錠の基盤エラー
修理費の目安は5万〜10万円とされ、故障が深刻な場合は、数十万円まで膨らむ場合もあります。
家づくりでは初期費用に注目しがちな一方で、便利な設備ほど維持費が上がりやすい点を知っておくと、後悔のない設備選びにつながります。
「メンテナンスフリー」に潜む高額修理のリスクがある
最近は「メンテナンスフリー」や「自動洗浄」などの設備が増えています。しかし、これらは完全に手入れが不要というわけではありません。
たとえば自動洗浄レンジフードは、10年前後で内部部品の点検や交換が必要となり、洗浄が届かない奥のパーツには油が蓄積しやすく、不具合の原因となります。
電子錠も同様で、内部基盤は経年劣化し、突然反応しなくなるケースもあります。
「メンテナンスフリー」とは、あくまで手間が軽くなるというだけで、故障すれば修理が必要です。とくに自動・電動系の設備は構造が複雑なため、故障時の修理費が高額になりやすい点に注意しておきましょう。
10〜15年後に一斉に寿命が来る家づくりの盲点がある
住宅設備の多くは10〜15年でメンテナンスや交換が必要になるとされています。30代で家を建てると、設備の寿命は50〜60代に訪れます。ちょうど教育費や老後資金の準備が重なる時期であり、修理費が家計に響きやすいのが実情です。
もし複数の設備が同時期に故障すれば、短期間でまとまった修理費が必要になる可能性があります。老後は収入が一定のため、突発的な支出が家計を圧迫しやすい点にも注意が必要です。
だからこそ設備を選ぶときには、「今便利かどうか」だけでなく、将来どのくらい維持費がかかるのかまで含めて設備を選ぶことが、長く安心して暮らすための重要なポイントとなります。
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メンテナンス費用が高額な住宅設備ランキング5選

住宅設備の中には、「便利そう」「家事がラクになりそう」と感じて導入されるものほど、故障時の修理費が高額になりやすい場合があります。
ここでは、メンテナンス費用の負担が大きい設備を、修理費の目安と注意点とあわせてランキング形式で紹介します。
どの設備にするか迷っている方は、後悔しないためにも事前に確認しておきましょう。
第5位|昇降式吊り棚(修理費5〜8万円・モーター故障に注意)
高い位置の収納をワンタッチで使える昇降式吊り棚は、キッチンの人気設備のひとつです。しかし便利さの一方で、モーターが故障すると5〜8万円の修理費がかかります。
とくに見落とされがちなのが重量制限(10〜15kg程度)です。調味料の瓶や缶詰、レトルト食品を入れていると、知らないうちに上限を超えてしまうケースが多く、モーターに負荷がかかり不具合の原因となります。
完全に故障してしまうとDIYでは対応できず、メーカー修理が前提となるのが注意点です。
そのため、次のポイントを意識しておくだけでも寿命を延ばせます。
- 収納物の重さを定期的に見直す
- 動きの遅れや異音など、初期サインに早めに対処する
「便利だから」と採用しやすい設備だからこそ、維持費のリスクも知ったうえで上手に付き合うことが大切です。
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第4位|自動洗浄レンジフード(数万〜10万円の修理費・自動でもノーメンテではありません)
「自動洗浄」と聞くと手入れ不要のように感じますが、実際には10年前後で数万〜10万円のメンテナンス費が発生する設備です。自動洗浄が届かない内部には油が溜まりやすく、モーターや基盤の劣化につながるため、完全なメンテフリーではありません。
また、自分では分解できない構造のため、不具合が起きるとメーカー対応が必須となり、修理費が高くつきます。
故障を予防するためには、次のような最低限の手入れが欠かせません。
- 2〜3か月に一度のフィルター掃除
- 手の届く範囲の軽い拭き取り
自動洗浄に任せきりにせず、少しだけ手をかけることで寿命は大きく変わります。
便利そうな名前に惹かれやすい設備だからこそ、どの程度の修理費が必要になるのかを事前に知っておくことが、後悔しない選択につながります。
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第3位|電子錠(修理費2〜15万円・部品待ちで玄関が使えなくなることも)
鍵を持たずにスマホやカードで開閉できる電子錠は、共働き世帯を中心に人気の高い設備です。しかし、便利さの裏側では、2〜15万円と幅のある修理費が必要となる場合があります。
電子錠は特殊な部品を使っているため、不具合が起きると部品の取り寄せに時間がかかり、その間は玄関が使えず仮鍵で対応するといったケースも珍しくありません。こうした費用以外の不便さが生じるリスクも、あらかじめ知っておくことが大切です。
対策としては、後付けタイプの電子錠を選ぶ方法があります。本体ごと交換しやすく、修理期間を短縮できるメリットがある一方で、デザインがやや無骨になるため好みが分かれます。
電子錠を検討する際は、使い勝手・デザイン・維持費のバランスを踏まえて選ぶことが、後悔しない設備選びのポイントです。
第2位|針葉樹の無垢床材(張り替え50〜100万円・広いほど高額になりやすい)
無垢床材は温かみがあって人気なものの、パインやスギのような針葉樹は傷がつきやすいという点がデメリットです。素材がやわらかいため、家具の移動や物を落としただけでも凹みやすく、日常的な手入れが欠かせません。
劣化が進めば張り替えが必要となり、費用は50〜100万円ほどと大きく膨らみます。LDKのように床面積が広い場所ほど負担が大きくなりやすい点には注意が必要です。
長持ちさせるためには、以下のような対策がおすすめです。
- 傷に強い広葉樹(オークなど)を選ぶ
- 1〜2年ごとのオイル・ワックスメンテを続ける
- 家具の脚にフェルトを貼る
無垢床は魅力的なものの、樹種ごとに耐久性が大きく異なります。見た目だけで選ばず、手入れのしやすさと将来の張り替え費用まで考えて検討することが大切です。
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第1位|全館空調システム(10〜200万円の高額修理・家全体が停止するリスクあり)
家中の温度を一括で整えられる全館空調は快適性が高く人気なものの、故障した際の負担が最も大きい設備です。ひとつのユニットで家全体を管理しているため、どこか一部に不具合が起きるだけで、全部屋の空調が止まるという可能性があります。
修理費は故障内容によって大きく異なり、10万円台から、場合によっては200万円近くかかる場合もあります。
負担を減らすためには、以下のような準備が欠かせません。
- 断熱・気密性能を高めて空調の負荷を減らす
- 延長保証の内容や交換費用を事前に確認する
- 10〜20年の総コストで採用を検討する
安心して長く使うためには、快適性だけでなく故障時のリスクも踏まえて選ぶことが大切です。
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住宅設備のメンテナンス費用を抑えるために今できる対策

住宅設備は10〜15年ほどで修理や交換が必要になり、時期が重なると老後の家計を圧迫します。
大阪・奈良エリアは気温差が大きく、空調設備の稼働時間が長いため、メンテナンス費が高くなりやすい地域でもあります。
家づくりの段階で対策を意識しておくと、将来の負担を大きく減らすことが可能です。
ここでは、老後の出費リスクを抑えるための3つの具体的な対策を紹介します。
壊れやすい部位と修理費用の目安を事前に把握する
設備選びでまず大切なのは、どこが壊れやすいのか、修理にはいくらかかるのかを把握しておくことです。故障しやすい部位は設備ごとにほぼ決まっており、あらかじめ知っておけば、予算計画も対策も立てやすくなります。
また、「メンテナンスフリー」と呼ばれる設備でも、実際には高額な修理費がかかるケースは珍しくありません。名前だけで安心せず、実態を確認しておくことが大切です。
採用前に修理費の目安を確認しておくだけで、後悔のない設備選びにつながります。
住宅設備の延長保証を活用して高額修理を防ぐ
住宅設備のメーカー保証は1〜3年と短く、故障が増え始めるのは5〜10年目です。保証が切れたあとに不具合が起きるケースも多く、数万〜十数万円の修理費が突然必要になる可能性もあるでしょう。
突然の負担を抑える方法として「10年の住宅設備延長保証」への加入がおすすめです。故障が集中しやすい時期をしっかりカバーでき、とくに電動系の設備では高額修理をほぼゼロにできます。
延長保証があれば、想定外の出費に備えられ、老後の家計リスクも軽くできます。コスト面でも安心面でも、加入する価値が高い備えです。
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初期費用だけでなく10〜20年の総コストで設備を選ぶ
設備選びでは、どうしても初期費用の低さに目が向きがちです。しかし、メンテナンス費や交換費が高ければ、長期的にはむしろ割高になるケースも珍しくありません。
家は10年、20年と住み続けるものです。だからこそ、「今いくらかかるか」だけでなく、「将来まで含めていくらかかるのか」を基準に選ぶことが重要です。
総コストで比較すると、本当にコスパの良い設備が選びやすくなり、将来の負担も軽くできます。
まとめ|住宅設備は「便利さ×メンテナンス費用」で選ぶと後悔しない
住宅設備は、日々の暮らしを快適にしてくれる心強い存在です。見た目や便利さで選びたくなるものの、10〜15年後には数万〜数十万円のメンテナンス費が発生する場合もあります。とくに30〜40代で家を建てるご家庭では、設備の寿命が訪れる50〜60代は教育費や老後資金と重なる時期です。思わぬ修理が、家計の負担となるケースも少なくありません。
今回ご紹介したように、昇降式吊り棚・自動洗浄レンジフード・電子錠・無垢床材・全館空調には、高額修理の可能性が潜んでいます。壊れやすいポイントや修理費の目安を知り、延長保証を活用し、10〜20年の総コストで設備を選ぶことが大切です。
将来を見据えて設備を選ぶと、10年後・20年後の暮らしがぐっと穏やかになります。便利さと維持費のバランスを大切にしながら、長く心地よく住める家づくりをしていきましょう。