住宅会社が倒産したらどうなる?お金・工事・ローン・保証制度で安心するための備え方
マイホームを任せた住宅会社や工務店が、もし倒産してしまったらどうなるのでしょうか。支払ったお金は戻るのか、工事は途中で止まってしまうのか、住宅ローンは払い続けなければならないのか。誰にとっても他人事ではない深刻な問題です。
資材価格や人件費の高騰で経営が厳しくなり、近年はハウスメーカーや工務店の倒産件数も増加しています。
本記事では、住宅会社が倒産した場合に起こり得る「お金・工事・ローン」への影響と、それをカバーする住宅完成保証制度や住宅瑕疵担保責任保険の仕組みをわかりやすく解説します。
万が一のリスクに備えつつ、安心して家づくりを進めるために必要な知識を身につけましょう。
住宅会社が倒産したらどうなる?お金・工事・ローンへの影響
住宅会社や工務店が倒産した場合、多くの人が不安に感じるのは次の3つです。
- 支払い済み代金の行方
- 工事の継続性
- 住宅ローン返済の扱い
多くの契約者が直面する大きな問題であり、あらかじめ理解しておく必要があります。
ここでは、住宅会社が倒産したときに起こり得るお金・工事・ローンへの影響を具体的に解説します。
支払ったお金は戻るのか?
結論から言えば、支払ったお金が全額戻るケースはほとんどありません。
住宅会社が倒産した場合、会社の資産には法律で定められた分配の優先順位があります。返金の優先順位は銀行、税金、従業員の給与が先で、契約者は最後にまわされるのが現実です。
資材の仕入れや下請け業者への支払いにすでに資金が使われている場合、返金に回せる余力が残らないケースも少なくありません。
したがって、支払った代金は戻らない前提で考えておくのが賢明です。
工事は止まってしまうのか?
住宅会社が倒産した時点で、工事は中断されます。
建物が未完成のまま放置されれば、建材が劣化して再利用できなくなったり、工事を再開するまでに追加費用がかかったりする可能性が高まります。引き渡しが遅れることで入学や引っ越しの予定に間に合わず、余分な賃貸費用が発生するケースもあるでしょう。
トラブルを最小限に抑えるには、できるだけ早く別の工務店やハウスメーカーに依頼し、工事を引き継いでもらうことが重要です。ただし、新しい施工会社を自力で探すのは難しく、多くの場合、工事のやり直しや追加費用がかかってしまいます。
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住宅ローンはどうなるのか?
「倒産したらローンも消えるのでは?」と誤解されがちですが、返済は継続しなければなりません。
注意が必要なのは、着工金や中間金の支払いに使われるつなぎ融資です。工事が完成していなくても返済を続ける必要があり、返済免除はほとんど認められません。金融機関に相談すれば、返済の一時的な猶予や計画の変更に対応してもらえる場合があります。それでも、返済そのものが免除されることはほとんどありません。
住宅会社が倒産すれば、「支払ったお金は戻らず、住宅ローンの返済は続く」という二重の負担が待っています。
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住宅会社倒産に備える「住宅完成保証制度」とは?
住宅会社が倒産した場合でも、契約者の負担をできるだけ軽減できるよう設けられているのが「住宅完成保証制度」です。
住宅会社が加入していれば、倒産時には支払い済み代金の一部を補償してもらえ、工事を引き継ぐ施工会社も紹介してもらえます。
この制度を利用することで得られる具体的なメリットを、3つのポイントに整理して紹介しましょう。
支払い済み代金の保証
住宅会社が倒産したとき、多くの人が最初に不安を感じるのは「すでに支払ったお金が戻るのか」という点です。
住宅完成保証制度に加入していれば、工事代金として支払った金額の一部が保証されるため、全額が失われるリスクを大幅に減らせます。
引き継ぎ先の施工会社に追加費用を求められる際も、その一部については補償を受けられるケースがあります。契約金や中間金が完全に戻らなくても、保証によって損失を軽減できるのは大きな安心材料です。
工事引き継ぎのサポート
住宅会社が倒産すると、工事が途中で止まってしまうのが最大の問題です。自力で新しい施工会社を探そうとしても、条件が合わなかったり、追加費用がかさんだりと大きな負担となってしまいます。
住宅完成保証制度に加入していれば、保証会社が工事を続けて担当する施工会社を手配してくれるので心配はいりません。施主が自力で対応する必要がなく、比較的スムーズに工事を再開できるのは大きなメリットです。
経営が安定した会社を選べるメリット
住宅完成保証制度に加入できるのは、保証会社の審査を通過した住宅会社だけです。資金繰りや経営状況など、一定の基準を満たしていることが条件となります。
保証制度に加入している住宅会社は、経営が安定していると判断できます。「保証制度に加入しているか」を契約前に確認することは、信頼性の高い住宅会社を見極めるうえで大切なポイントです。
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住宅完成保証制度では何が対象?保証限度額はいくら?
住宅完成保証制度は、住宅会社が倒産した場合に契約者の損失をできるだけ抑えるための仕組みです。
すべての費用がそのまま保証されるわけではなく、保証には対象範囲や金額の上限があります。
ここからは、保証の対象となる範囲と保証限度額の目安について、具体的に解説しましょう。
保証の対象になる費用と範囲
住宅完成保証制度で対象となるのは、主に個人が発注した注文住宅です。
保証される費用は大きく分けて次の2つがあります。
- すでに支払った工事費:倒産した住宅会社に前払いしていた契約金や中間金など、未完成の工事に対して支払った費用の一部が保証されます。
- 工事を引き継ぐ際の追加費用:新しい施工会社が工事を引き継ぐ際に発生する追加費用の一部も対象です。引き継ぎの際には、工事のやり直しや仕様の変更が発生することも多く、追加費用がかかりやすいため、保証してもらえるのは大きな安心材料です。
ただし、すべてのケースが対象となるわけではありません。リフォーム工事や法人名義での発注などは保証の対象外になることが多いため、契約前に必ず確認しておくことが重要です。
保証限度額はいくらまで?
住宅完成保証制度には、保証される金額の上限が定められています。
一般的な目安は工事請負金額の20〜30%程度で、請負金額が2,000万円の場合、400万〜600万円程度が限度額です。
制度によっては「上限1,000万円まで」といった具体的な金額を設定しているケースもあります。
そのため、すでに支払った費用がすべて保証されるわけではなく、補償はあくまで上限の範囲内に過ぎません。
保証額や条件は制度ごとに異なるため、「どのくらい保証されるのか」「上限はいくらなのか」を契約前に必ず確認しておく必要があるでしょう。
家が完成したあとに住宅会社が倒産したら保証はどうなる?
家が完成したあとに住宅会社が倒産した場合、「完成後のアフター保証がなくなってしまうのでは?」と不安に感じる人は少なくありません。
しかし実際には、法律と保険の2つの仕組みによって、完成後の保証はきちんと守られています。
ここでは、その仕組みを「法律で定められた10年保証」と「住宅瑕疵担保責任保険」の2つに分けて解説しましょう。
法律で定められた10年保証
住宅会社は、家を建てたあとも10年間にわたり「構造上の主要な部分」や「雨漏りを防ぐ部分」を保証することが法律で義務づけられています。
会社が倒産しても、住宅の品質確保の促進等に関する法律による保証義務が消えることはありません。
完成後に重大な欠陥が見つかった場合でも、法律を根拠とした保証を受けられる仕組みが確保されています。
(参考:国土交通省「住宅の品質確保の促進等に関する法律」)
住宅瑕疵担保責任保険の仕組み
完成後の保証をさらに強固にしてくれるのが住宅瑕疵担保責任保険です。
新築住宅を供給する住宅会社に加入が義務づけられており、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分に不具合が生じた場合、保険金から修理費用が支払われます。
工事中に住宅会社が倒産しても、着工前にこの保険へ加入し現場検査を受けていれば安心です。引き継ぎ先の施工会社でも、同じ保証を利用できます。
そのため契約前には、「住宅瑕疵担保責任保険に加入しているか、いつ加入するのか」を確認しておくと安心です。
(参考:国土交通省「住宅瑕疵担保責任保険について」)
倒産しやすい住宅会社の5つの特徴と見分け方
評判が良くても、経営が不安定な住宅会社は倒産のリスクを抱えています。契約前にポイントを確認すれば、危険な会社を見極めやすくなります。
ここでは、倒産リスクのある住宅会社を判断するための5つの特徴を紹介しましょう。
支払い条件が不自然
住宅代金は通常「契約金・中間金・完成時」の3回に分け、それぞれ3分の1ずつ支払うのが基本です。
しかし、資金繰りが厳しい会社では「着工時に半額以上を請求する」「契約時に大部分を前払いさせる」といった不自然な条件を示す場合があります。
実際に、契約直後に総額の8割を受け取り、その後倒産したという悪質な事例も報告されています。こうした前倒しの支払い要求は、資金難に陥っているサインと考えられるため注意が必要です。
契約前には必ず支払いスケジュールを確認し、標準的な条件から大きく外れていないかをチェックしましょう。
見積もりが相場より極端に安い
資材価格や人件費が高騰している現在、相場から大きく外れた安値を提示する住宅会社住宅会社は要注意です。
一見「コスパが良い」と感じても、契約後に資金ショートを起こし、経営が続かなくなるケースも少なくありません。
もちろん企業努力でコストを抑えている場合もありますが、極端に安い見積もりには必ず理由があります。
提示額が相場とかけ離れていないか確認し、「なぜ安いのか」を担当者に納得できるまで尋ねる姿勢が大切です。
工期が明らかに短すぎる
30坪前後の木造住宅であれば、一般的な工期は3.5〜4か月程度が目安です。
しかし、資金繰りに余裕のない会社は「2か月以内で完成可能」といった、明らかに無理のある工期を提示してくる場合があります。
工期を削りすぎると、質の低下や追加費用発生といった不利益を被るおそれが高まります。背景には「早く現金を回収したい」という会社側の事情が隠れているケースも多いため、極端に短い工期を提示された場合は十分に警戒しましょう。
建築現場をほとんど見かけない
地域で施工現場をほとんど見かけない住宅会社は、受注不足による経営不振が疑われます。
仮に受注があっても、資金繰りの悪化で資材や職人を確保できず、工事が進まないケースもあります。
一方で、安定した住宅会社は地域に複数の施工現場を抱えていることが一般的です。モデルハウスやショールームだけでなく、実際の建築現場を見学できるかどうかも、信頼性を見極める大切なポイントとなります。
社員の入れ替わりが多い
担当者が頻繁に変わったり、営業や現場監督が短期間で辞めてしまったりする会社は、運営に不安があるサインです。
給与の遅配や労働環境の悪化が背景にあると、社員の離職率は自然と高くなります。
家づくりは数か月から1年以上かかる大規模なプロジェクトです。担当者が途中で辞めれば、情報の引き継ぎが不十分になり、施工ミスやトラブルの要因となりかねません。
そのため、社員の定着率や担当者の安定性は、信頼できる住宅会社を見極めるうえで欠かせないチェックポイントといえます。
まとめ|住宅会社倒産リスクに備えるために
住宅会社の倒産は、誰もが直面し得る問題です。資材価格や人件費の高騰が続く今、経営が不安定な会社は増えており、「支払ったお金が戻らない」「工事が途中で止まる」「ローンだけが残る」といった最悪の事態も他人事では済まされません。
しかし、事前に対策を知っていればリスクは大幅に減らせます。
- 住宅完成保証制度に加入している会社を選ぶ
- 住宅瑕疵担保責任保険の加入時期を確認する
- 倒産リスクが高い会社かどうか、見極めのチェックを忘れない
この3点を押さえるだけでも、安心感は大きく変わります。
マイホームは家族の暮らしを支える大切な基盤です。契約前に必ず保証制度の有無を確認し、信頼できる住宅会社を選びましょう。