2025年最新版 住宅ローン減税はどう変わったのか?省エネ基準義務化で失敗しない家づくり
住宅ローン減税の説明を聞く夫婦

家づくりコラム

2025年最新版 住宅ローン減税はどう変わったのか?省エネ基準義務化で失敗しない家づくり

住宅ローン減税の説明を聞く夫婦

2024年から住宅ローン減税の制度が大きく改正され、「改悪だ」「控除が受けられない」といった声も聞かれるようになりました。実際に、省エネ基準を満たさない住宅では1円も控除が受けられないケースもあるため、最新の制度を正しく理解しておく必要があります。

本記事では、2025年現在の住宅ローン減税を受けるために押さえておきたいポイントを、国土交通省の最新情報や過去制度との違いを交えて解説します。これからマイホームを検討する方は、ぜひ参考にしてください。

住宅ローン減税とは?

住宅ローン減税のイメージ

住宅ローン減税は、住宅購入者の負担を軽減するために設けられた税制優遇制度です。1970年代に導入され、住宅取得の促進だけでなく、家具や家電の需要を高めて景気を刺激する狙いもありました。

改正を重ねながら現在も続いており、2025年時点では年末の住宅ローン残高の0.7%が、所得税や住民税から最長13年間控除されます。たとえば、年末に3,000万円の残高があれば「3,000万円×0.7%」で、最大21万円が控除されます。

所得税で控除しきれない分は翌年の住民税から差し引かれますが、金額には上限があるため注意が必要です。

(参考:国土交通省「住宅ローン減税(所得税・個人住民税)」)

2025年の住宅ローン減税の注目ポイント

注目ポイントを説明する女性

2022年の税制改正で、住宅ローン減税の控除率は1%から0.7%へと引き下げられました。その後も制度は見直され、適用期限は2025年入居まで延長されています。さらに2024年からは仕組みが大きく変わり、省エネ基準を満たさない住宅が対象外となりました。

これからマイホームを計画する方は、最新の条件を正しく理解し、過去の情報に惑わされないよう注意が必要です。

改正ポイント1:借入限度額と控除条件

住宅ローン減税の最大の特徴は、借入限度額が住宅の性能や入居者の条件によって変わる点です。限度額を超えた部分は控除の対象外となるため、制度を理解して計画を立てる必要があります。

2025年入居の場合の借入限度額は次のとおりです。

区分長期優良住宅・低炭素住宅ZEH水準省エネ住宅省エネ基準適合住宅
子育て世帯・若者夫婦世帯5,000万円4,500万円4,000万円
その他の世帯4,500万円3,500万円3,000万円

省エネ基準を満たさない住宅は「その他の住宅」とされ、2024年以降に建築確認を受けた場合は控除対象外です。

たとえば、年末に5,000万円の住宅ローン残高があった場合、ZEH水準の住宅では3,500万円までが対象となり、「3,500万円×0.7%」で24万5,000円が控除額になります。

一方、長期優良住宅なら4,500万円まで対象となり、最大31万5,000円が控除されます。性能の高い住宅ほど控除枠が広がるため、省エネ性や認定制度を意識して家づくりを進めるのが有利です。

(参考:国土交通省「控除 期間 借入限度額 住宅の環境性能等 2024・2025年入居 」)

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改正ポイント2:子育て世帯・若者夫婦世帯の優遇措置

住宅ローン減税には、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象とした借入限度額の優遇があります。これは2023年の制度改正で追加されたもので、住宅ローン負担の大きい世帯を支援する狙いがあります。

これらの世帯が2025年に入居する場合、借入限度額は以下のとおりです。

(出典:国土交通省「住宅ローン減税」)

優遇対象外の世帯に比べて、限度額が500万~1,000万円上乗せされます。ローン残高が多い家庭ほど控除額が大きくなるため、子育て世帯や若い夫婦世帯にとっては家を建てやすい制度設計になっています。

改正ポイント3:省エネ基準義務化と対象外住宅の注意点

2024年の改正で大きな変化となったのが、「その他の住宅」の借入限度額が0円になった点です。省エネ基準を満たさない住宅は、住宅ローンをいくら借りても減税が一切適用されません。

地球温暖化対策と制度改正の背景

省エネ性能の低い住宅は電気使用量が増え、二酸化炭素の排出量も多くなります。

こうした住宅は地球温暖化防止の取り組みに逆行するため、2025年4月からは省エネ基準を満たさない新築住宅の建築が禁止されています。

2025年以降のマイホーム計画に必要な視点

資産価値の観点からも、省エネ基準適合住宅を選ぶのが基本となりました。

ただし注意が必要なのは、ハウスメーカーや住宅販売会社が「省エネ」と説明していても、必ずしも基準を満たしていない場合がある点です。

契約前に必ず適合証明を確認しましょう。

対象外とならないための確認

制度上、省エネ基準の適合は2025年4月以降すでに義務化されています。

モデルハウスの見学や商談の際に「控除の対象外になる」と言われた事例もあるため、購入を検討する際は必ず住宅ローン減税の対象かどうかを事前に確認することが重要です。

減税を受けるためのその他の条件(入居時期・面積・借入期間)

条件と注意点を理解して笑顔の女性

住宅ローン減税を利用するには、省エネ性能以外にも複数の条件を満たす必要があります。とくに重要なのは入居時期・家の面積・借入期間の3点です。各条件の基準と注意点を整理して説明しましょう。

入居時期(スケジュール)

住宅ローン減税を受けるには、2025年末までに入居する必要があります。契約時期がいつかは問われず、対象かどうかは入居時点で判断されます。

省エネ基準に適合していない住宅でも、2023年12月31日までに建築確認を受けていれば特例で住宅ローン減税を利用でき、上限2,000万円・10年間の控除が認められました。しかし、この特例はすでに終了しているため、現在は適用されません。

(参考:国税庁「令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」)

面積

住宅ローン減税を受けるには、延べ床面積が50㎡(約15坪)以上である必要があります。
ただし、合計所得が1,000万円以下で、2025年末までに建築確認を受けた場合は、40㎡(約12坪)以上でも対象となります。

また、延べ床面積の2分の1以上を自ら居住する住まいとして利用することが条件です。そのため、二世帯住宅や店舗併用住宅では要件を満たさないケースがあります。心配な場合は、間取りの工夫や面積の配分について、早めに住宅会社や工務店へ確認するのがおすすめです。

借入期間

住宅ローン減税を受けるには、借入期間が10年以上であることが条件です。
そのため、10年未満のローンを組む場合は対象外となります。

また、将来貯金が増えて繰り上げ返済を行う際も注意が必要です。返済期間が10年未満に短縮されると、減税を受けられなくなる可能性があります。繰り上げ返済を検討する際は、返済期間が条件を満たしているか必ず確認しましょう。

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減税を有利にする省エネ性能基準(ZEH・長期優良住宅など)

省エネ基準適合住宅のリビング

住宅ローン減税を最大限に活用するには、省エネ性能の高い住宅を選ぶことが重要です。2025年に入居を予定している人は、次の4つの基準を押さえておく必要があります。

省エネ基準

2025年現在の省エネ基準は、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」によって定められています。建物の省エネルギー性能を確保するための基準で、次の2つで構成されています。

「一次エネルギー消費量」とは、空調・換気・照明・給湯などに使われるエネルギーから、太陽光発電設備などで創出したエネルギーを差し引いたものです。指標はBEIと呼ばれ、基準値は1.0以下です。

「外皮」とは外壁・屋根・窓など建物を覆う部分を指します。断熱性能が高いほど外気温の影響を受けにくく、省エネ性能も高まります。外皮性能はUA値で表され、地域ごとに基準が異なります。たとえば兵庫県を含む多くの地域では0.87以下が基準です。

なお、2025年4月以降は新築住宅に対して省エネ基準の適合が義務化されています。つまり、これらの基準は「最低ライン」であり、特別高性能住宅を意味するわけではありません。

(参考:国土交通省「省エネ基準の概要」)

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ZEH水準

ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、省エネ性能を高めた住宅を指します。外皮の断熱性能を強化し、高効率な設備やシステムを導入することで、消費する一次エネルギーを大幅に削減します。さらに再生可能エネルギーを活用し、エネルギー収支を実質ゼロにする点が大きな特徴です。

ZEH水準の住宅には、次のような設備が一般的に導入されます。

2025年4月からは省エネ基準への適合が義務化されましたが、2030年度以降は新築住宅においてZEH水準の性能が最低基準となる予定です。

(参考:国土交通省「ZEH・LCCM住宅の推進に向けた取組」)

長期優良住宅

長期優良住宅とは、長期間にわたり良好な状態で住み続けられるよう設計された住宅を指します。省エネ性能に加え、劣化対策・耐震性・バリアフリー性・維持管理のしやすさなど、多面的な基準が設定されています。

建築・維持管理の計画を策定し、所管行政機関に申請すると認定を受けられる仕組みです。2009年6月に新築住宅の認定制度が始まり、その後も基準は見直されてきました。2022年の改定では、省エネルギー性能が強化され、断熱等性能等級が「4 → 5」に、一次エネルギー消費量等級が「6」に引き上げられています。

(参考:国土交通省「長期優良住宅のページ」)

低炭素住宅

低炭素住宅とは、生活に伴って発生する二酸化炭素の排出を抑えるために設計された住宅です。ZEH水準の省エネ性能に加えて、再生可能エネルギー利用設備や低炭素化に役立つ措置の導入、または所管行政機関による認定が求められます。

具体的には、高性能断熱材や高断熱サッシ、エコキュートなどの省エネ設備に加え、太陽光発電を活用することでエネルギー消費量を大幅に削減します。

長期優良住宅と同様に省エネ性能は高いものの、低炭素住宅はより省エネに特化している点が特徴です。総合的な機能面では長期優良住宅に劣る場合がありますが、その分認定のハードルは比較的低く設定されています。

(参考:国土交通省「エコまち法に基づく 低炭素建築物の 認定制度の概要」)

2026年以降の住宅ローン減税はどうなる?

マイホームの今後をは話し合う夫婦

現行の住宅ローン減税は、2025年末までに入居した場合に適用される制度です。そのため、2026年以降の制度内容はまだ発表されていません。

今後の改正によっては控除条件が有利になる可能性もありますが、逆に補助金や優遇措置が縮小されるリスクもあります。確定情報が出るまでは予測できないため、制度の延長や改正動向を国土交通省や国税庁の最新情報で確認することが大切です。

賃貸とマイホーム購入を比較する

賃貸住宅に住み続ける場合、家賃10万円なら年間120万円を支払う計算になります。長期的に見れば大きな出費であり、資産として手元に残りません。

一方、マイホーム購入はお子さんの進学や成長に合わせた引越しなど、人生の節目と重なるケースが多く見られます。家を建てたい明確な理由があるなら、現行の住宅ローン減税や各種優遇措置を活用し、早めに快適な住まいを手に入れる選択も有効です。

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省エネ性能を意識して住宅会社を選ぶ

マイホームを建てる際は、省エネ性能の高い住宅を多数手がけている住宅会社や工務店を選ぶのが安心です。住宅ローン減税を申請するには証明書や必要書類が欠かせないため、実績の乏しい会社では控除の対象外になるリスクがあります。

控除を確実に受けるには、知識と実績を備えた会社を選ぶことが重要です。

2024年時点で発表されている住宅ローン減税は2025年までの入居を条件としているため、2026年以降の動向はわかりません。今後、減税条件が良くなるようであれば、マイホームの新築を待つという選択肢もあります。ただし、正確な情報がない以上、補助金などが減ってしまう可能性も考えておいたほうがいいでしょう。

まとめ|2025年は省エネ住宅がマスト

住宅ローン減税は法改正により、省エネ性能の低い住宅が控除対象外となりました。さらに2025年4月からは、省エネ基準への適合が新築住宅の必須条件となっています。今後、マイホームを建てるなら、省エネ住宅が最低ラインです。

環境への配慮に加え、光熱費の削減や資産価値の維持にも直結します。これからの家づくりでは、省エネ性能を重視した計画を立てましょう。

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