【2025年最新版】時代遅れの間取りとは?注文住宅で後悔しないためのポイント8選
注文住宅の間取りは一度決めると簡単には変えられません。流行や見た目だけで選ぶと、住み始めてから「掃除が大変」「思ったより使いにくい」と後悔する場合もあります。
最近はコロナ禍や共働き世帯の増加、在宅勤務の普及など、暮らしを取り巻く環境が大きく変わりました。その結果、かつて人気だった設計が「時代遅れの間取り」と言われるようになっています。
この記事では、2025年版として、注文住宅で避けたい間取り8選と改善のポイントをまとめました。いまの暮らしと、将来の暮らしを見据えた、快適な住まいづくりのヒントをぜひ参考にしてください。
時代遅れの間取りとは? 後悔や失敗につながる理由
注文住宅では、雑誌やSNSで人気の間取りを参考にする人が多くいます。
しかし流行だけで決めると、暮らし始めてから不便さや後悔を感じるケースも少なくありません。
一見便利な間取りも、時代の変化であっという間に時代遅れになります。
つまり、間取りの常識は移り変わり、後悔や失敗の原因にもなるのです。
流行とともに変化する間取りの常識
住宅の間取りは、社会やライフスタイルの変化に応じて移り変わってきました。
- 昭和:大家族を前提とした和室や続き間
- 平成:核家族を中心にリビング重視の設計
- 令和:共働きや在宅勤務を考慮した家事ラク動線やワークスペースが重宝
このように、合理的で便利とされた間取りも、時代が変われば不便に感じられる場合があります。間取りの常識は時代とともに変わり続け、社会の変化に応じて常に変化していくのです。
なぜ便利そうな間取りが後悔につながるのか
見た目や流行に惹かれて選んだ間取りが、住み始めてから使いづらさを感じる理由はいくつかあります。
- 実生活を想定していない
雑誌やSNSで映えても、掃除や家事動線までは考えられていない場合があります。 - 社会の変化で価値が薄れる
コロナ禍で広まった玄関手洗いも、現在では「掃除が大変」と敬遠されがちです。 - ライフステージに合わなくなる
子どもが独立すると広すぎる子供部屋や余ったワークスペースが、使われない空間として残ってしまいます。
間取りの評価は、家族の暮らし方や社会の変化、住宅性能や規制の進化によって常に移り変わります。
そのため「現在は使いやすい」と思える設計も、数年後には時代遅れとされる可能性があるのです。
注文住宅で避けたい時代遅れの間取り8選
家づくりの計画中は、便利さや流行を重視して、思わず採用してしまう間取りもあります。 ところが、暮らし始めてみると「思ったほど使わない」「むしろ不便だった」と後悔する声も少なくありません。
ここでは、すでに「時代遅れ」と言われ始めている8つの間取りを紹介します。
玄関ホールの手洗いは、掃除が大変で後悔しやすい
コロナ禍をきっかけに注目を集めたのが、玄関に設ける手洗いスペースです。ところが実際に使ってみると、次のような不満が多く聞かれます。
- 水はねで床や壁が汚れやすく、掃除が大変
- 小さなボウルで子どもが使いにくい
- 掃除か所が増えて手間がかかる
- 来客用に置いても使用頻度が低い
より現実的なのは、玄関に近い位置へメインの洗面台をレイアウトする設計です。ボウルが大きく水はねが少ないうえ、掃除を一か所に集約できます。LDKへの動線上に置けば、帰宅後の手洗いもスムーズです。必要に応じて深めのボウルや自動水栓を選べば、使い勝手もさらに向上します。
安心感よりも実用性を重視し、メイン洗面台の位置や動線で対応できるかを見極めることが大切です。
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リビング一角のオープンワークスペースは、在宅勤務に不向き
リビングの一角にカウンターを設けたオープンワークスペースは、「家族の様子をそばで見守れる」と好評を得ました。ところが在宅勤務が日常になると、次のような問題が浮かび上がってきました。
- 家族がいると集中できない
- 会議や打ち合わせがしにくい
- 家族も気を使い、家事や生活が制限される
効率が下がるだけでなく、家族にも気を使わせてしまい、ストレスの原因となります。
改善策としては、専用の書斎や、仕切りを活用した半個室のワークスペースがおすすめです。落ち着いて作業できる環境を整えれば、仕事の効率が上がり、家族との時間も大切にできるようになります。
ワークスペースは見た目の印象よりも、日々の暮らしに合うかどうかを基準に考えることが大切です。
ホームシアターは、大型テレビの普及で不要になりやすい
かつては「自宅を映画館のように楽しみたい」と導入する家庭も多かったホームシアターですが、近年は減少傾向にあります。主な要因は、大型テレビの急速な普及です。
現在では 85インチの4Kテレビが30〜50万円前後で手に入り、臨場感も申し分ありません。対してスクリーンとプロジェクターの導入には別途コストがかかり、購入後の管理やメンテナンスも必要になります。
さらにホームシアターには、
- 部屋を暗くしないと映像がきれいに見えない
- セッティングや片付けに手間がかかる
- 忙しいと「準備が面倒」で結局使わなくなる
といったデメリットもあります。
結果として、多くの家庭では大型テレビとスピーカーを活用したシンプルなスタイルが選ばれています。費用を抑えながら迫力ある映像を楽しめ、普段の生活に取り込みやすいのが魅力です。
広すぎる子供部屋は、家族の時間が失われやすい
「のびのび過ごしてほしい」と広い子ども部屋を望むご家庭も多かった時代があったものの、最近では見直されるようになっています。主な理由は、広すぎることで生活の質が下がってしまうためです。
たとえば、
- 子どもが部屋にこもりがちになる
- 家族との会話が減ってしまう
- リビングが圧迫されて狭くなる
といったデメリットが目立ちます。
最近の住まいづくりでは、広さを4.5帖程度に抑えた子ども部屋が一般的です。「寝る・勉強する・着替える」といった基本機能に絞れば十分で、余った面積をリビングや共用スペースに充てれば家族の交流が自然に増えます。
「狭いとかわいそう」と感じる方もいますが、自分だけの小さな空間を心地よく使う子どもは少なくありません。広すぎる部屋で孤立するよりも、家族と触れ合う時間が増える設計のほうが、健やかな成長につながります。
水回りが離れた配置は、共働き世帯には非効率で後悔が多い
かつてはキッチン・洗面・ランドリーが離れていても大きな問題とはされていませんでした。
しかし現在は新築世帯の7割以上が共働きとされ、朝は料理・洗濯・身支度を同時にこなす必要があります。水回りが分散していると移動が増え、家事効率が大きく低下してしまいます。
具体的な不便としては、
- キッチンとランドリーを何度も往復する
- 洗面所が遠く、子どもの支度に手間取る
といったことが挙げられます。わずかな不便も積み重なれば、暮らし全体の快適さを損なう要因です。
一方で、水回りを近くにまとめれば移動が少なくなり、家事の時短につながります。とくにランドリールームとファミリークローゼットを隣接させれば、洗濯から収納までが一連の流れで完了できるため効率が高まり、暮らしも快適になります。
動線を考えない中庭は、おしゃれでも家事の邪魔になりやすい
中庭は光や風を招き入れ、住まいに明るさと広がりを与える人気の間取りです。ただし、動線を十分に考慮しない設計では、生活の利便性を損なう恐れがあります。
たとえば、
- LDKから洗面やランドリーへ行くのに回り道が必要になる
- ファミリークローゼットが中庭の向こう側にあり、朝の身支度に手間がかかる
といったケースです。毎日の行動に関わるからこそ、小さな不便が大きなストレスにつながります。
玄関のように行き来の少ない場所とつなげれば、動線を乱さず、来客時には洗練された印象を演出できます。欠かせないのは、生活のシーンを思い浮かべて動線を検討する姿勢です。計画次第で、中庭は生活に溶け込みつつ、見た目も楽しめる空間へと変わります。
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主寝室の大きな窓は、防犯と冷暖房効率の面で不便になる
以前は「朝日をたっぷり取り込みたい」と大きな窓を設ける家庭が多くありました。しかし実際には、
- 早朝の強い日差しで眠りが浅くなる
- 冷暖房の効率が落ち、光熱費が高くなる
- 外からの視線や防犯面で不安が残る
といった問題が目立ちます。日中は寝室で過ごす時間が少なく、採光のメリットを感じにくいのも現実です。
そのため最近は、必要最小限の窓+高窓の組み合わせが主流になっています。視線を避けつつ明るさを確保できるうえ、Low-E複層ガラスや外付けブラインド、遮光カーテンなどを採用すれば、快適さと省エネ性も向上します。
寝室では採光よりも睡眠とプライバシーを優先し、大きな窓の必要性を改めて検討することが大切です。
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断熱性の低い吹き抜けは、夏は暑く冬は寒くなりやすい
吹き抜けは開放感があり、光を取り込める人気の設計な一方で、断熱性が低い家では大きな負担となります。
- 夏は暑さがこもり、冬は冷え込みやすい
- 冷暖房効率が悪く、光熱費がかさむ
- 見栄えはいいが、暮らしにくい
とくに、2025年から省エネ基準が義務化され、2030年にはZEH水準(断熱等級5)が最低ラインとなる予定です。現在の断熱等級4は基準を満たしてはいるものの、あくまで最低限の性能にすぎません。数年後には時代遅れと見なされる水準になる可能性があります。
快適な吹き抜けを実現するなら、断熱等級6以上、できれば最高等級7を目指すのがおすすめです。十分な断熱性能があれば、一年を通じて心地よく過ごせ、冷暖房費の負担も大幅に減らせます。
見た目だけでなく、将来の基準も見据えて設計することが、後悔しない住まいづくりにつながります。
(参考:国土交通省「家選びの基準変わります」)
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後悔しない家づくりの3つのポイント
ここまで「時代遅れの間取り」の特徴を見てきました。後悔しない家づくりには、流行に流されない視点が大切です。
次は、注文住宅を考えるときに気をつけたい3つのポイントを見ていきましょう。
流行よりライフスタイルに合う間取りを選ぶ
SNSや住宅展示場では「おしゃれ」「最新」と注目される間取りが次々と紹介されています。ただし流行は長く続かず、暮らしに合わなければ不便や後悔の原因です。
リビング一角のオープンワークスペースは一時期人気を集めましたが、テレワークが広がると「集中できない」「会議がやりにくい」といった不満が多く聞かれるようになりました。
間取りを選ぶ際は「毎日の暮らしで本当に使うか」を具体的にイメージすることが大切です。家族の暮らし方や日々の習慣を踏まえ、本当に必要な空間と不要な空間を見極めましょう。
将来の変化を見据える子どもの独立や老後も考えた設計
間取りで失敗しやすいのは、「いまの暮らしだけに合わせて考えてしまう」ケースです。。子どもが小さいうちは広い子供部屋が便利に思えても、独立後には使われずにデッドスペースとなるリスクがあります。
さらに、30代・40代で建てた家は、生涯にわたって暮らす住まいとなるのが一般的です。老後を見据えると、階段の上り下りの負担や水回りの遠さが暮らしの不便につながるため、あらかじめ配慮した設計が求められます。
10年後、20年後の暮らしを見据えた間取りこそが、長く快適に暮らせる家づくりの鍵です。
家事ラク動線と断熱性を重視した快適な家づくり
住まいづくりで大切なのは、流行にとらわれるのではなく「快適さ」と「コストのバランス」です。とくに共働き世帯では効率的に動ける間取りが欠かせません。水回りを一か所にまとめれば移動が減り、忙しい朝の支度もぐっとスムーズになります。
これからの家づくりでとくに大切なのが、断熱性能です。性能が不足していると、夏は室内が高温になり、冬は冷え込みやすくなり冷暖房費も高くついて家計に負担がかかります。断熱等級6以上、できれば最高等級7を選べば、一年中心地よく暮らせ、光熱費の節約にもつながります。
2030年には「断熱等級5」が標準となる予定です。長く安心して暮らすためには、あらかじめ等級6〜7を意識して設計を選んでおくのが望ましいでしょう。
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まとめ|時代遅れの間取りを避けて快適な住まいにするために
間取りの流行は、社会や暮らし方の変化とともに移り変わってきました。以前は人気を集めた設計でも、現在の生活では不便に感じる場合もあります。
後悔しない家づくりには、次の3つの視点が大切です。
- 流行に流されず、自分たちのライフスタイルに合う設計を選ぶ
- 将来の暮らしの変化を見据えて考える
- 家事動線や断熱性など、実用性を重視する
家の価値は日々の暮らしの中で育まれるものだからこそ、ご自身に合った住まいを目指しましょう。